最初に訪れたのは、カオ・ダット・ドアイ村に住む60歳を超える職人、グエン・ディン・ダイさんの一家です。彼はナムカオで最も古い伝統的な絹織物業を営む一家の4代目です。彼によると、ナムカオ村の人々は今でも手紡ぎで絹を紡いでおり、それを代替できる機械は世界中どこにも存在しないそうです。
この技法は、絹糸に紡ぐことができないほど壊れた繭も活用し、糸を引き、撚り、再び麻糸に繋ぎ直すことができます。現在、ナム・カオのシルクリネンは、廃棄された繭ではなく、清潔で美しい繭を使用し、糸を紡いだ後、20もの手作業による工程を経て、柔らかくドレープ感のある生地に仕上がっています。
ダイ氏の父親は、近隣の織物村から「学ぶ」ことを模索し、織機を発明しました。それまでのように絹や麻といった原材料を供給するだけでなく、ナムカオ村独自の織物技術を生み出したのです。幾度もの改良を経て、現在ではモーターを搭載し半自動で稼働する織機が誕生し、生産性の向上と織り手たちの負担軽減に貢献しています。ナムカオの織物はフランスやヨーロッパ、そして現在はタイやラオスにも輸出されており、ベトナム国内市場の開拓にも力を入れています。ベトナムの消費者向けに、 ファッションデザインや日用品に加工しています。
どちらもシルク繊維から作られていますが、リネンにはシルクとは異なる独自の特徴があります。シルクは柔らかく滑らかで、機械で大量生産できるのに対し、リネンはより粗く、手作業でしか生産できません。リネンは繊維を手で引き伸ばしているため多孔質で、冬は暖かく、夏は涼しく、洗濯しやすく、乾きも早いという特徴があります。リネンは一見すると見た目は美しくありませんが、体に触れれば触れるほど柔らかく、光沢が増していきます。ファッション用途に加え、蚕の天然特性を活かした抗菌性や耐火性などの医療効果も期待できます。リネンは、サステナブルファッション業界が求める貴重な素材として、ますます価値を高めています。
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