ヒグマを根絶するか共存するかは、ルーマニアの農民、議員、自然保護専門家の間で議論を呼んでいる問題だ。
通りすがりのドライバーが投げたサンドイッチをクマが食べている。写真: AFP
ロシアに次ぐヨーロッパ最大のヒグマの生息地であるルーマニアでは、観光客や蓋のないゴミ箱から餌を求めて森からクマが出てくるため、人間への襲撃が増加している。この問題は、農民や遊牧民、そして自然保護活動家の間で論争の的となっている。ルーマニア当局は、今年駆除できるクマの数を50%増の220頭に大幅に増やした。一部の議員は、この数を倍増させることを望んでいる。彼らは、ヒグマは脅威であり、その数は急増していると主張している。ルーマニア環境省は、ヒグマの個体数を約8,000頭と推定していると、 AFP通信が10月23日に報じた。
しかし、専門家はこの主張に異議を唱え、当局は欧州連合(EU)の保護下にあるヒグマの個体数を数えるのに時代遅れで不正確な方法を用いていると述べている。徘徊するヒグマが複数回数えられていないことを確認するためにDNA鑑定が行われた調査の結果はまだ出ていない。自然保護活動家たちは、人間とヒグマの衝突は、ヒグマを殺すよりもうまく管理できると主張している。しかし、カルパティア山脈の一部の地元住民は、ヒグマの目撃情報の増加に懸念を抱いている。公式統計によると、2016年から2021年の間にヒグマによる襲撃で14人が死亡、158人が負傷した。
サンタンヌ湖へ続く道近くの山間の牧草地で70頭の牛を飼育する牧夫ティボール・フェケテ氏は、ヒグマの駆除を望んでいる。今年、牛3頭がクマに殺されたという。「クマは被害をもたらし、私たちの生活を脅かしています」とフェケテ氏は語った。また、牛を守るために6頭の犬を飼う費用についても不満を漏らした。先月、30キロ離れたミエルクレア・チュクの町で、1頭のクマが校庭に迷い込み、木に登った。救助隊は、1700人以上の生徒の安全を確保するため、クマを追い払ったり麻酔をかけたりするのではなく、殺処分した。
ミエルクレア・チュク市のアッティラ・コロ市長は、ヒグマは麻酔をかけられても攻撃する可能性があると述べ、クマの駆除強化を支持している。同市長によると、昨年よりも多くのクマが街から追い出されたという。
ルーマニアでは2016年以降、ヒグマのトロフィーハンティングが禁止されており、専門家のみが射撃を許可されている。バルナ・タンチョス議員率いる議員たちは、年間約500頭のクマの駆除を許可する法案を提案した。タンチョス議員は、そうでなければヒグマは首都ブカレストやドナウ川デルタなどの低地を徘徊することになるだろうと述べている。しかし、この提案は自然保護活動家から反対を受けている。彼らは、狩猟枠を増やすことでトロフィーハンティングが助長され、問題のないクマまで射殺されてしまうのではないかと懸念している。
ミエルクレア・チュクからそう遠くない山間の小さな町、バイレ・トゥスナドは、「ヒグマに優しいコミュニティ」を目指している。アイメックスやWWFなどの自然保護団体の助言を受け、町はクマよけゴミ箱の試験運用を行い、住宅周辺に400基の電気柵を設置している。また、クマとの衝突を避けるための方法を教えてくれるアプリも導入されている。2021年には50件発生した死亡事故は、2022年と2023年にはゼロにまで減少する見込みだ。この町の住民であるラシさんは、数年前に電気柵を設置した。「トゥスナドでクマが怖くないと言う人は、嘘つきか愚か者です。私たちはクマと共存しようとしているだけです。他に方法はないのです」とラシさんは語った。
アン・カン( AFP通信)
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