コントゥム木造教会(コントゥム大聖堂とも呼ばれる)は、コントゥム市の中心部に位置し、中央高地で最もユニークな建築作品の一つとされています。20世紀初頭に建てられたこの教会は、中央高地の文化的影響と建築様式を体現しており、カトリック教徒だけでなく、コントゥム地域全体の象徴となっています。
1913年に建設が始まり、1918年に完成しました。コントゥム木造教会は、フランス人司祭ジョセフ・デクロイユの作品です。彼は西洋建築とバナ族の高床式住居の特徴を綿密に研究し、融合させました。教会全体は、耐久性と自然の美しさで知られる中部高原の希少木材、カチット材で作られています。教会構造には釘は一切使用されておらず、伝統的なほぞ継ぎ技法によって木部が巧みに接合され、堅牢な構造となっています。
教会の上空からのパノラマ風景。写真:収集
教会の外観は、温かみのある木の色合いが、コントゥム山脈と森の緑を背景に際立つ荘厳な佇まいです。4階建ての鐘楼は空高くそびえ立ち、ゴシック様式でありながら、中央高地特有の共同住宅の屋根と見事に調和しています。建築のラインは、古典ローマ様式と土着の建築様式を巧みに融合させ、繊細でありながら高地の風景と文化に寄り添う詩的な美しさを醸し出しています。
教会内部は開放感あふれる広々とした空間で、高さ12メートルを超える木製の柱がそびえ立つドーム屋根を支え、神聖で静謐な空間が広がっています。西洋ヴィトラル技法で作られたステンドグラスから自然光が差し込み、聖書の情景や中央高地の人々の暮らしを描いた、きらびやかな空間が広がっています。特に、正面扉の真上に設置された大きなステンドグラスは、先住民族の文化を鮮やかに描き出し、村落や共同住宅、そして手つかずの自然風景を自然光を通して再現し、静謐でありながらも奥深い感動を与えています。
コントゥム教会の木造鐘楼。写真:収集
コントゥム木造教会は、信徒の礼拝の場であると同時に、多くの観光客や研究者が訪れる文化交流の場でもあります。毎年、クリスマスやイースターといった主要な祝日には、この教会は宗教・文化活動の中心地となり、地元住民や観光客が各地から訪れ、中央高原のアイデンティティが息づく聖なる空間を鑑賞し、祈りを捧げ、体感しています。特に、教会では高原の村々で作られた手工芸品の販売も行われており、中央高原の民族独自の民俗文化の紹介と維持に貢献しています。
聖域は壮麗かつ荘厳に設計されている。写真:収集
時の経過と自然の試練を乗り越え、コントゥム木造教会は中央高地の歴史の証人として、今もなお揺るぎなく佇んでいます。過去100年にわたり、この教会は建築、文化、そして宗教を愛する人々の注目を集め続けてきました。地域社会の生活に欠かせない存在となったコントゥム木造教会は、文化的価値を保存する場であると同時に、宗教と生活、西洋文化と先住民文化の繋がりを象徴する存在でもあります。
コントゥム木造教会は、宗教建築であるだけでなく、コントゥム族の誇りであり、中部高原のかけがえのない財産でもあります。西洋建築芸術と中部高原のアイデンティティが調和したこの建物は、文化の生きた象徴となり、ベトナムの現代建築と芸術を愛する世代にとって尽きることのないインスピレーションの源となっています。
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