ユーロ圏のインフレ率は2月に予想よりも低下し、欧州中央銀行(ECB)が利下げ開始を夏まで待つ可能性が高まった。
ユーロ圏は昨年末、景気後退を辛うじて回避したが、低成長またはゼロ成長が続く四半期が続いたため、高い借入コストがユーロ圏20カ国・地域の回復の芽を摘むのではないかとの懸念が高まっている。
持続的なインフレ
ユーロスタットが3月1日に発表した速報値によると、ユーロ圏のインフレ率は1月の2.8%から2月は2.6%に低下した。アナリストらは2.5%への低下を予想していた。
物価上昇圧力は改善の兆しが見られるものの、依然として根強いことが背景にある。食品、アルコール、タバコ、エネルギーといった変動の大きい項目を除いたコアインフレ率は、1月の3.3%から3.1%に低下した。これはコンセンサス予想の2.9%も上回った。
EU統計局によると、2月のインフレ率は食品、アルコール、タバコが最も高く、4%だった。ロシアとウクライナの紛争が続く中、昨年急騰したエネルギー価格は引き続き下落し、デフレ率は-6.1%から-3.7%に低下した。
「これは依然として主にエネルギー価格の問題だ」と、オランダの銀行INGのエコノミスト、カーステン・ブルゼスキ氏は、前年比での価格下落について言及した。「年間インフレ率で見ると、石油、ガス、電力価格の低下が見られる」
欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、エネルギー価格が2022年の水準から大幅に下落したため、インフレは引き続き減速すると予想している。写真:PBSニュース
投資家はECBがいつ利下げを開始するかの手がかりを探しているが、このデータはこの問題について議論を始めるにはまだ時期尚早だというECB当局者の見解を裏付けるものとなるだろう。
ECB当局者の多くは、域内のインフレ圧力をより明確に把握するには、春までに賃金交渉を終える必要があると主張している。オーストリア国立銀行のロバート・ホルツマン総裁は今週、ポリティコEUに対し、6月より前に金利引き下げの議論は行わないと述べた。
賃金圧力が最も顕著なサービス価格上昇率は3.9%に鈍化し、同地域の主要加盟国の一部からの以前のデータを裏付けている。
「現在、全体のインフレの半分を占めているサービス価格の停滞は、ECBを不安にさせるだろう」とメドレー・アドバイザーズのEUマクロ政策アナリスト、ペピン・ベルクセン氏はX/Twitterで述べた。
高額な借入コスト
総合インフレ率は2024年まで続くと予想されている。賃金が物価に追いつかなかった2年間を経て、労働者は失われた購買力を取り戻そうとしており、賃金交渉とそれが物価に与える影響も重要な要素となっている。
欧州の主要な政策立案者は、賃金上昇が緩やかになることを期待し、企業が人件費の上昇を消費者に転嫁するのではなく、利益率の中に吸収している証拠があることから、賃金上昇に焦点を当てている。
ECBは、インフレ率が2024年には2.7%前後で推移し、目標に回復するのは2025年後半になると予想している。しかし、来週の政策会合でこれらの予測を修正する可能性が高いとしている。さらに、ECBの上級エコノミストらは今週初め、早ければ年央にも目標達成の可能性を示唆する調査論文を発表した。
2024年2月2日、イタリアのカターニアにあるシチリア・マッツォーネ菓子店で買い物をする客。イタリアのインフレ率は2024年2月に1%を下回った。写真:ゲッティイメージズ
同時に発表されたユーロ圏の雇用統計は、労働市場が依然として比較的健全であることを示した。季節調整済み失業率は1月に6.4%と過去最低を記録し、12月の6.5%、前年の6.6%から低下した。
借入コストが記録的なペースで上昇する中、雇用市場は回復力を見せているものの、ECBが2022年7月に金利引き上げを開始して以来、経済は低迷したままとなっている。
ユーロ圏は昨年末、かろうじて景気後退を免れたが、低成長またはゼロ成長が続く四半期が続いたことで、高い借入コストが回復の芽を摘むのではないかとの懸念が高まっている。
3月1日、S&Pグローバルの調査データによると、ユーロ圏の製造業は2月も引き続き縮小したが、主要指数では同部門が昨年末に底入れしたことが示された。
ミン・ドゥック(ポリティコEU、CNBCによる)
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